ドクターズキッチン研究会 + 調理実演・試食

第1回映像から見た世界の食事と健康・長寿ワークショップ「客家(ハッカ)の食事と健康―広東省・梅県の調査から」

ワークショップNo.0207DK

開催日 平成22年2月7日(日)15:00~17:30 (16:20~交流会) 時間 15:00~17:30(16:20~交流会)
場所 先端ナレッジフィールドUDXマルチスペース(東京フードシアター5+1)    参加費 無料 (交流会参加者は別途2000円頂きます。長寿食をお召し上がり頂きます)
募集対象 健康料理にご興味のある方ならどなたでも 調理のできない方も大歓迎 医師、管理栄養士、調理士等プロも歓迎 募集人数 30名

ドクターズキッチン研究会

映像から見た世界の食事と健康・長寿ワークショップ

世界の国々には長寿国といわれる地域や民族がいます。また、これまで長寿地域や民族であったのに急激に悪化していたり、短命地域であったのに改善の兆しが見えてきたりすることがあります。こうした地域やその現象にはこの分野の権威である家森幸男先生とWHO(世界保健機構)のフィールルドワークとしての研究調査により科学的な根拠やメカニズムが解明されてきました。そこで解った大きな要素が各地の特徴的な「食事」にありました。
このWHOの世界各地のフィールドワークを映像記録したのが、同行した映像監督の重森貝崙 さんとなります。重森さんがカメラを通して見てきた世界の食事と健康・長寿の関係を家森先生の解説と合わせて映像を見ながらワークショップと映像に登場する食事の調理実演と解説、試食会、交流会をシリーズで行うものです。
 
1回  201027日(日)15001700
映像【客家(ハッカ)の食事と健康―広東省・梅県の調査から(30分)】
 
○「客家」という名称で呼ばれている人々は、もともと中国の最も伝統ある文明地帯である黄河中流域、いわゆる中原(ちゅうげん)に住んでいた血族集団です。
 
それが異民族の侵攻や兵乱などで、数次にわたって南への移住を余儀なくされ、その最も大きなグループが広東省・梅県(ばいけん)を根拠地に展開している人たちです。南の広東省に住み暮らしていても、彼らは固有の言語・客家語を話し、北方・中原での昔からの習俗を守り続けています。
 
お城のような大きな家に、何家族もが共同生活を営む客家の人たち。その食生活もユニークです。彼らは朝ご飯にお粥を食べません。客家の人たちは厳しい労働環境にある農民です。お粥では腹持ちが悪すぎるのです。また、この地方に住む客家以外の人たちの料理に比べ、塩分強めといわれています。
 
今回は豆腐と豚肉、野菜で作る「家常豆腐(ジアチャンドウフゥ)をキッチンで再現し、ワークショップに参加されている皆さまに味わって頂きます。この料理は、客家の人たちが最も好んで食べている、栄養満点の美味しい家庭料理です。
 
その他 『映像からみた世界の食事と健康・長寿』ラインナップ とプログラム
 
◎予防栄養医学・長寿学の泰斗として世界的に有名な家森幸男博士によって、1986年から開始された「WHO・世界の食事と健康」研究。この研究は、世界25ヶ国・61地域に及ぶ大規模なフィールドワークで、食事と健康・長寿の関係に関して、次々と新しい医学・栄養学的研究成果が生れ、現在も進行中です。
 
このワークショップで上映される映像は、世界各地での検診・調査の実際や、食環境・食生活などを記録したもので、全て家森博士の監修作品です。
家森幸男博士は京都大学名誉教授、武庫川女子大学教授、WHO循環器疾患専門委員、わが国でなじみ深い「カスピ海ヨーグルト」の生みの親でもあります。
 
第1回 2010年2月7日 中国広東省梅県 客家の食事と健康
     調理実演 家常豆腐 等
第2回 2010年2月12日 中国広東 広州の魚料理
     調理実演 はたの蒸し料理
第3回 2010年2月19日 沖縄伝統料理
     調理実演 豚と昆布と瓜の煮込み
第4回 2010年2月26日 グルジア・コーカサスの料理
     調理実演 牛肉のボイル
第5回 2010年3月9日 スコットランドの短命料理を反面教師に
     調理実演 フィッシュ&チップスによる改善メニュー
第6回 2010年3月14日 ブラジルの短命料理を反面教師に
     調理実演  フェジョアーダ豆と肉の煮込み)による改善メニュー
 
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重森 貝崙 (しげもりばいろん) 先生  
 
プロフィール
記録映像監督。(社)中日文化研究所理事。
大学卒業後、岩波映画製作所入社、監督、代表取締役を務める。主に世界・中国の食文化について映像演出および研究をしている。「中国の食文化」では電通・映画部門賞など多数受賞。
 
受賞歴
「中華人民共和国の農業」で教育映画祭最優秀作品賞(文部大臣賞)受賞
「中国の食文化」で電通・映画部門賞、日本ペンクラブ・外国部門賞受賞
「病む人なき未来へ」で芸術文化振興基金の助成を受ける
 
 
家森 幸男(やもりゆきお) 先生
 
武庫川女子大学国際健康開発研究所 所長/医学博士
世界の健康長寿食の研究
 
<賞>
科学技術庁長官賞、日本脳卒中学会賞、米国心臓学会高血圧賞、日本循環器学会賞、ベルツ賞、杉田玄白賞、紫綬褒章受賞
 
プロフィール
1937年、京都府生まれ。1967年、京都大学大学院医学研究科博士課程修了。病理学専攻。米国国立医学研究所客員研究員、京都大学医学部助教授、島根医科大学教授、京都大学大学院人間・環境学研究科教授などを歴任。
1983年からWHOの協力を得て世界25カ国61地域を学術調査。
現在、武庫川女子大学国際健康開発研究所所長、京都大学名誉教授、WHO循環器疾患専門委員、財団法人兵庫県健康財団会長、財団法人生産開発科学研究所予防栄養医学研究室長などを兼任している。
 
主な研究分野
世界で初めて人間と同じような脳卒中をおこす遺伝子を持ったラットを開発し、たとえ脳卒中の遺伝子があっても、脳卒中が大豆蛋白質、大豆イソフラボンなどで予防出来ることを証明。そこでWHOの協力を得て、20余年をかけて世界25ヵ国61地域で食事と健康・寿命の関係について研究を続け、ついに長寿の栄養源が大豆の成分、蛋白質やイソフラボンなどであることを明らかにした。
長寿食に関する著書も多数。
 
主な著著
『大豆は世界を救う』 法研
『110歳まで生きられる!脳と心で楽しむ食生活』 NHK出版
『長寿食世界探検記』 ちくま文庫
『食で作る長寿力』 日経プレミアシリーズ
『長寿の秘訣は食にあり』 マキノ出版
『カスピ海ヨーグルトの真実』 法研
『ついに突きとめた究極の長寿食』 洋泉社
『食べてなおす高血圧』 講談社
『病気にならない食べもの便利帳』 大和書房
ほか多数
 
27UDFワークショップ 「客家編」レジュメ
客家は秦の始皇帝の頃まで、中華の民族、漢民族の最も正統派に属する集団であったのに、南へ移住してから少数民族のように、異端視され、差別され、迫害されてきたのは、歴史の皮肉というほかない。
しかし、彼らは持ち前の勤勉さ、ネバリ強さ、向学心などによって、客家語を守り続けながら、客家人の集団を存続させ、客家集団の中から、その時代の中国の国運を左右するような英雄やリーダーが生れた。女性もまたすばらしい。
太平天国の乱、辛亥革命、大長征など、その時代を変革しようとする大きな波は、いつも中国南方から起こっている。そしてその中心に必ず客家が存在するというのは大変興味ある事実である。
映像に出て来た人以外、客家の有名人を紹介すると、まず歴史上の人物では、朱子学の創始者、儒学中興の祖ともいうべき朱熹。モンゴル軍と戦い、捕虜となってから獄中で「正気の歌」を詠み、節を曲げなかった文天祥、陽明学の開祖、王陽明などが客家出身であったと言われているが、なにぶん昔のことなどで確かなことは判らない。近代ではアヘン戦争の英雄・林則徐。そして現代では、甲骨文字学者・文学者の郭沫若、鄧小平と同じく四川の客家で、二人とも客家人であることは間違いない。あまり知られていないが、胡耀邦もまた客家であった。
客家の人々は、中国大陸から、香港、台湾、そして東南アジアに新天地を求め、今ではその国や地域の基盤を支える確かな存在となっている。現代の政治家では、国民党の元総統・李登輝、シンガポール独立の父・リー・クアン・ユー首相、この二人は共通の先祖をもつ。そしてゴー・チョク・トン首相。実業家では、タイガーバームの創業者・胡文虎。台湾の映画監督・「非情城市」の侯孝賢。現代中国及び東南アジアの政治・経済・文化は客家のことを抜きにしては語れない。
客家の人たちは団結心が強いといわれている。客家の人たちを結びつける強力な絆の一つが客家語である。客家には「田畑は売っても客家語は捨てぬ」ということわざがある。それほど客家語を大切にしている。文化人類学では、「民族とは言語である」という定義があるが、客家人の言葉に対する接し方はこの定義を裏付けている。中国国内で客家語を話せる人たちは、現在約4千万人。優に一つの国家を形成できる人口である。
次は、客家の食文化について触れることにする。客家料理というのは、広州料理、東の海に近い潮州料理と並ぶ広東料理の一つ、という位置づけになっている。客家の人たちの多くは、山間丘陵地帯に住み暮らし、基本的に貧しい。その食生活は極めて質素である。その特徴をいくつか挙げてみる。
 
1. 客家の人たちはお粥を食べない。腹持ちが悪く、激しい労働に耐えられないからである。また携帯
にもにも不便という事情もある。しかし、中公新書「客家の原像」という本を書いた林浩氏のように、客
家人は貧乏なのだから当然お粥を食べてきた、と主張している人もいる。考えるに、客家人は中国南
部や四川など、広い範囲に展開している。おそらくその土地々々によって食習慣が異なることが原因
ではないかと思われる。
 
2.常に保存食、漬物、乾燥野菜、乾物類などを用意している。歴史上、大移動したとき以来の伝承で
ある。また、先住者とのあいだで「械闘」という規模の大きい武力闘争が行われることもあった。このと
き、城塞のような大きな家で籠城するが、保存食や乾物類は不可欠の食品といえる。具体的な食品、
例えば漬物は鹹菜、高菜の漬物が有名で、高菜を干してから漬けたのが梅菜である。また、切り干し
大根・蘿葡絲もよく作られる。動物性食品としては、鹹魚、鹹肉などがある。
 
3.客家米反という食品がある。めでたい祝祭日に欠かせない餅やお団子の類いである。なかでも赤
い色をしたお餅・紅亀米反は、正月や結婚式に必ず登場する。この餅は、うるち米の粉ともち米の粉を
半分づつ混ぜ合わせて作る。これらは、北方・中原で暮らしていたときの食品を、形を変えて南方で作
り出したものと思われる。すなわち、北での粉食時代に食べていた饅頭、包子、蒸しパンなどに代わる
食品として作り出されたと考えられている。映像に出てきた「醸豆腐」は、北方の代表的食品・餃子の
代用品として開発されたのではないか、といわれている。
 
4.客家料理の特徴は、「鹹、肥、香(ハム、プイ、ヒョン)」の三文字で表されるという。鹹は塩味が強
い、ということである。肥は脂っこい、香は、香り、風味がいいということである。漬物や塩蔵の保存食
は当然塩を利かせてある。重労働のため塩分が強めになるのは、自然の成り行きである。 
このような塩分強めの食品を、美味しい料理に仕立てるには、脂っ気が必要になる。また、乾燥野菜
は油脂を使って調理すると、とても美味しくなる、という性質をもっている。もちろんこれに新鮮な肉、
魚、野菜が加わり、いい方向にミックスされ、コラボ効果を発揮している。
そして、香りの世界であるが、保存食には香辛料がたくさん使われている。さらに料理を作るとき、香
辛料を多用する。例えば内臓料理を作るとき、香辛料や香味野菜はなくてはならない存在といえる。
客家料理が香り高いと評価される所以である。
 
客家の食文化と健康・長寿の関係はどうか。当初家森博士たちは、客家菜は塩味が強いということから、血圧の高い人が多いのではないかと予測していたが、その予測は幸いにもはずれ、血圧の正常な人が大部分であった。それは、乾燥野菜をはじめ、生鮮野菜や果物をよく摂っていることが大きな原因であった。体内の塩分を、野菜や果物の食物繊維が身体の外へ出してくれるのである。また、豆腐のイソフラボンや、豚・鶏などのモツと魚に含まれるタウリンは、動脈硬化を予防し、血圧を下げる作用がある。そして、身体をよく動かすため、肥満の人がほとんどいないという結果になり、このこともまた、血圧を正常に保つ原因として考えられる。
客家料理というのは、中国を代表するような有名料理ではないが、これを生み出した人たちと同じく、極めてユニークな個性をもったおいしい料理として、記憶してもらえればと考えている。以 上
「ドクターズキッチン」とは
 
 健康をテーマとした食の番組に紹介された食材がスーパーなどの店頭から一斉になくなることは良く知られています。我々の身近な関心事であり、古くより食と医療、健康に関しては語られてきました。しかし、言い伝えられる食と健康の常識には、大きな間違いや誤解も存在します。特定健康保険食品(トクホ)などの登場に見られるように、これまで科学的根拠(エビデンス)や治験の必要が無かった食にも様々な分野の研究者により研究が進んできました。
 
 食に関しての科学や技術が進歩したことにより、これまで以上に「食と健康」の関係が解明されるようになってきました。治療や予防医療、日々の健康管理の他、美容や介護などに対しても食を活用したソリューションが開発、提案されています。個人の病院での治療・投薬履歴や健康診断などの記録、その他、食事・運動などのバイタルデータなどの健康データ(パーソナルヘルスレコード)に基づく、食事療法や食事指導もその領域となります。
 
 国民の健康や病気予防、高齢化に対しての対策、食糧自給の問題としても「食」に対する期待が高まってきています。医療費の抑制などの考え方などからは病院給食などに対して健康保険により給付される給食の考え方やレセプトの方針が日々、変わりつつあります。
 
 近い将来、病院給食は治療の一環で提供される療養食や嚥下食などを除く、一般食などは健康保険の領域から外れ有償化の方向に進みます。逆に通院患者向けの食事療法などには薬の処方箋同様、食の処方箋がシステム化するようになるでしょう。病院や診療所経営の観点から見ても療養食以外にも健康食としての指導や提供が見直され、ドクターズキッチンレストランなど医師の監修やプロデュースによる食品やレシピ開発、惣菜中食、給食、外食などのサービスが盛んになってきます。
 
 こうした社会インフラを支えるためには医療機関だけでなく、健康サービス産業(フィットネスジムやエステックサロン、マッサージや健康料理教室など)の他、農業などの食の生産や食品加工メーカー、外食や給食、食品スーパーや惣菜販売などの中食などのフードサービス産業、調理などのための厨房産業や調理家電、またパーソナルヘルスレコードのための情報システム産業、健康機器メーカーなど多岐にわたる業界のコラボレーションが重要となってきます。
 
 本ワークショップはこうした新市場に対して新たな製品やサービスを提供するための情報を学び、ビジネス研究や交流により新産業創出を促進します。
 
    プログラムは製品やサービス、ビジネスの企画研究開発の情報、産学官、異業種、川上川下の連携促進を目的とした「イノベーションワークショップ(セミナー)」の「ドクターズキッチン・ビジネスワークショップ」とフードサービス産業や調理士、栄養士、保健士、介護士、医師や医療機関経営者、健康サービス産業者などを対象とした「食と健康医療」を学ぶ「プロフェショナルワークショップ」、一般の方々が食育としてドクターズキッチンレシピなどを学ぶ「オープンワークショップ(セミナー)」の「健康教室」「料理教室」などがあります。
 
 ここでは「ドクターズキッチン・ビジネスワークショップ」として1月末より毎月1~2回程度の開催を下記のテーマなどにより予定しています。各方面の先端的取組や実績のある講師・スピーカーをお招きして新産業文化創出研究所 所長 廣常啓一のファシリテートにより参加者通しの議論も交えプログラムを進めてまいります。
 
■食による健康・医療のための社会インフラの可能性
■食による医療費軽減と地域産業振興
■診療報酬から外れる入院食(医療制度改正と給食の動き)
■フードサービス産業が乗り出す治療食の供給システム
■パーソナルヘルスレコードとドクターズキッチン
■ドクターズキッチンとIT技術
■次々と研究が進む食の科学と効能
■健康のための調理技術と調理機器とは
■広がる高齢者食、介護食の市場
■メタボ検診の現在の状況
■食事の処方箋システム
■健康経営と食のソリューション
■病院経営改善としてのサービス拡大とドクターズレストラン
■ドクターズレストランとしての病院の取組み
 
各月の詳細・お申込は以下をご覧ください。(現在、プログラム準備中ですが、詳細内容は随時、更新してまいります。)
 
■これまでのドクターズキッチンワークショップ
10年1月16日 ローカーボ(低糖質)クッキングの開発とメタボ対策
10年1月29日 ドクターズキッチンビジネスワークショップ 
 
■これまでのドクターズキッチン料理教室
09年7月30日  糖質制限食による健康料理教室  →     http://www.icic.jp/workshop/cat/o/000007.html
09年8月8日  朝採れ野菜のデトックス健康料理教室 → http://www.icic.jp/workshop/cat/o/000048.html
09年8月24日 大豆主原料の栄養機能食品を使った健康料理教室 → http://www.icic.jp/workshop/cat/o/000054.html
10年1月29日 美肌メニュー料理教室 →